
カスタマーハラスメント対応研修必須のテーマ「カスタマーハラスメントをしてしまう人の心理」 | アックスラーニング
2025年03月25日 14:59
筆者であるアックスラーニング代表の岩崎は、15年以上にわたり、行政機関の窓口応対や各社のお客様相談室、コンタクトセンター等の対面や電話、そしてメール等のサービス品質調査をおこなってきました。こういったサービス能力調査を依頼される企業や組織の多くは国内を代表される大手企業や巨大組織がほとんどでしたが、通常の顧客対能力を調査するばかりではなく、不当要求対応や難クレーム対応、カスタマーハラスメント(カスハラ)対応についても、個々の社員の対応力を評価しそして組織的な対応ができているか、サービスポリシーに基づく対応ができているか、そして不当要求やカスタマーハラスメントをする方の傾向分析などをよく依頼されてきました。かなりレアな仕事のようですね。
不当要求やカスタマーハラスメントをする側、加害者側の心理を理解することは、カスタマーハラスメント対応においてまたカスタマーハラスメント対応研修の内容として重要だと感じています。そこで、行政機関の窓口や各社のお客様相談室等で不当要求やカスタマーハラスメントをしてくる人の傾向や特徴を簡単にまとめてみます。
目次
1.カスタマーハラスメント(カスハラ)を行う人々の心理的特徴
2.不当要求研修やカスタマーハラスメント対応研修の注意点
1.カスタマーハラスメント(カスハラ)を行う人々の心理的特徴
・自己中心的な性格
自分のニーズが他人のニーズよりも優先されるべきだ、優先されていると考える「自己中心的な傾向」があるため、話し相手の視点や感情に共感しにくく、妥当な落としどころを探るような合理性も乏しいと感じるケースが多い。
・権利意識の強さ
自分が顧客であることに対して、過度に高い特権意識を持っていることがある。「金を払っているんだから」「税金を払っているんだから」「顧客は正しい」という考えを極端に解釈し、自分の要求が全面的に受け入れられるべきだと強く主張するケースが多い。
・ストレスやフラストレーションの抱え込み
特に「お金」に関係した話し合いの中で顕在化されるケースが多いと筆者は感じているが、ハラッサーの置かれている生活環境のストレスの中で過剰なクレームや不当要求、カスタマーハラスメントに陥るケースを見かける。筆者の経験では、電話料金、電気料金、区役所や市役所の生活保護相談等の企業や行政機関のコンサルティングで、ご自身が抱える過度なストレスやどうしようもできないストレスが爆発し、自分の感情をコントロールできなくなった方々を多く分析してきた。
また、日ごろのストレスや不満を発散する手段として、サービス業従事者や担当者に攻撃的な態度を取るケースがあると言う専門家やマスコミの報道を聞くが、これに関して筆者は十分なデータがあるわけではないので何とも言えない。ただ、20年以上前の話になるが、筆者は個人情報漏洩事件として大々的に報道等されていた某通信企業の緊急コールセンターの責任者をした経験があるが、この時は明らかにユーザではない人からの理性を失ったまさに異常な対応を数か月間、対応した。こうしたケースが日常のストレス発散であったのかまでは分からないが、ユーザでもないのに不当要求や長時間罵声を浴びせるなどの行為をしてくる方々が実際に存在していると筆者は知っている。
・コミュニケーション能力の欠如
自分の不満や要求を効果的に伝えるスキルが不足しているため、攻撃的な手段を選んでしまうことがある。これは相手方の理解する力の乏しさも関係あるのではないかと筆者は感じているが、このケースの対応は実務的に大変に難しい。そもそも、不当要求などはその昔からゆすりや脅しで金員をだまし取る経済的な犯行が多かったが、こうした方々はだましたり脅したりを手段として、彼らの目的を果たそうとしていて、こちらの話していることも実は理解する力がある。しかし、コミュニケーションや理解力の乏しい方は、例えば、お客様の勘違い・誤りに気づけなかったり、強烈な思いこみがあったり、また言葉で相手に伝えるための表現が難しいこともあり、最終的には取り乱した言動をする方もいる。筆者の研修ではこれら「コミュニケーション力の欠如、理解力の乏しいことによる」対応もカスタマーハラスメント対応研修のテーマとして扱うが、これは実務においてかなり難しいケースである。
・過去の経験からの影響
ここから、特に心理面に照らしたカスタマーハラスメント傾向のある方の心理的な特徴を示したいが、カスタマーハラスメントをされる方は、自分が過去に受けた経験、それに伴う相手や企業へのイメージに固執し、過剰に敏感になっている場合がある。そして、「水に流す」「相手を許す」等は出来ず、まさに「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」方が多い。過去の経験がトリガーとなり、自己防衛姿勢の結果、相手方への攻撃的な態度へとつながっている。この辺りの心理理解は、筆者が実施するカスタマーハラスメント対応研修でベーシックなテーマである。
・認知の歪み
事実を自分に都合よく解釈し、周囲の状況や他者の意図を誤解する無視する。被害者意識が強く、自分がいつも不当に扱われたと感じることもよくある。認知の歪みがある方はカスタマーハラスメントをしてやろうという意図よりも、そもそも対人関係が円満に形成しにくく衝突が多いようだ。ゆえに、カスタマーハラスメント以前に日常的に対人関係がうまくいっていないという方もいるということは知っておきたい。
さて、いかがでしたか?これらの特徴がすべてのカスタマーハラスメントをする人に当てはまるわけではありませんが、彼らの行動を理解するための参考としてみてください。特に、認知の歪みや過去の経験がハラッサーに強く影響していることや「理解力・共感力の欠如が考えられる方」がいることを知ると、その途端にカスタマーハラスメント対応力、不当要求対応力は高まります。
2.不当要求研修やカスタマーハラスメント対応研修の注意点
筆者は、国内の苦情対応、クレーム対応、不当要求そしてカスタマーハラスメントに至る時代の変遷を20年にわたり体験し、更にコンサルタントとして調査分析、研修等をしてきましたが、10年ほど前から気になっていることがありました。それは、不当要求研修やカスタマーハラスメント対応研修の際、「○○な場合、このお客様は◆◆という精神疾患がある」といったように病名をつけて研修をする講師が出てきたことです。
一見、説得力があるようにも思えますが、この内容は重大な人権侵害でありますし、医師でもないのに病名をつける研修をするようなことは適切ではありません。カスタマーハラスメント対応研修の際、相手方の心理的特徴を検討することは有効ですしむしろ必要な学びですが、同時に人権等に十分配慮し研修をする必要がありますので注意しましょう。
◆参考Webサイト◆
カスハラ専門コラム: https://www.ax-learning.jp/column/customer-harassment
カスハラ講演会ラインナップ: https://www.ax-learning.jp/lecture/customer-harassment
厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/
あかるい職場応援団: https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
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