
カスタマーハラスメント対応策に必須!社内相談窓口の設置ガイド | アックスラーニング
2025年03月25日 15:04
「お客様は神様」「お客様には逆らえない」。
日本では長年、このような考え方がビジネスの場で重視されてきました。しかし近年、度を超えた要求や嫌がらせ行為など、企業の従業員に対する「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が深刻化しています。
カスタマーハラスメントは、従業員の精神を蝕み、営業活動のパフォーマンス低下や離職に繋がるだけでなく、企業の評判を失墜させるリスクも孕んでいます。企業は、カスタマーハラスメントから従業員を守るための対応策を講じることが重要であり、そのための重要な施策の一つが「社内相談窓口の設置」です。
目次
1.なぜカスハラ対応の社内相談窓口が必要なのか?
2.効果的なカスハラ社内相談窓口の設置方法とは?
1.なぜカスハラ対応の社内相談窓口が必要なのか?
カスハラ被害を受けた際、会社にカスハラ相談窓口やインシデント報告のルールが無い場合、従業員は誰にも相談ができず一人で抱え込んでしまうケースが多く見られます。社内相談窓口を設置することで、以下のようなメリットが生まれます。
・従業員が安心して相談できる環境を作る
カスハラは、被害者が泣き寝入りしてしまうケースも多く、早期の対応が重要です。相談しやすい窓口を設けることで、被害を顕在化させ、カスハラを防止させていくだけではなく被害者である従業員のケアを早期に図ることができます。
・適切な対応策を迅速に講じることができる
専門知識を持った担当者や経験豊富な相談対応者を窓口に配置することで、状況に応じた適切な対応策を迅速に実行できます。もちろん、経験が無くても「まず相談できる」環境を整え、会社としてどの様に対応していくか考えられる体制を作ることが大事でしょう。
また、カスハラ相談窓口の担当者は、いわゆるハラスメント相談窓口相談者と同様に、相談対応者として相応しい話の聞き方や振る舞いを身につけておく必要もあります。
・組織全体でカスハラ問題への意識を高める
カスハラ相談窓口の設置は、企業としてカスハラ問題に真剣に取り組む姿勢を示すことになり、従業員の意識向上や予防にも繋がります。
・カスハラ相談窓口設置の意義の整理
・カスタマーハラスメントを受けた従業員の心身の健康保護
・カスタマーハラスメントを受けた従業員の精神的ダメージの早期発見
・カスタマーハラスメントを受けた従業員のメンタルヘルスケアの実施
・カスタマーハラスメント二次被害の防止
・カスタマーハラスメントへの組織的な対応体制の確立
・カスタマーハラスメントに個人での抱え込み防止
・カスタマーハラスメントへの統一的な対応方針の実施
・カスタマーハラスメント事案の適切な記録と分析
・カスタマーハラスメントによる法的リスクの軽減
・カスタマーハラスメントから従業員を守るための企業の安全配慮義務の履行
・ハラスメント防止法への対応
・労働問題への適切な対処
2.効果的なカスハラ社内相談窓口の設置方法とは?
カスハラ社内相談窓口を効果的に機能させるためには、以下のポイントを押さえましょう。
❶カスハラ相談窓口設置の方法
カスハラ相談担当者の選定: カスハラ相談窓口には、信頼性があり、機密情報を守ることができ、危機管理、企業リスクの観点で即時に正しい判断と行動がとれる担当者を配置する。可能であれば、メンタルヘルスについての基本的な知識も持つ人材が望ましい。また、カスハラに関連する知識や法律・条令、カスハラ対応策のマニュアルなどに熟知した担当者を配置し、必要に応じて外部の専門機関との連携も検討きる方がカスハラ相談窓口として適任である。
明確なカスハラ相談手順の設定: カスハラ相談の受付からカスハラ対応、カスハラの事後対応までの手順を明確にし、全従業員に周知する。手順は簡潔で相談者が安心して利用できるものとし、迅速に事案の解決へと導くようにする。
周知徹底: カスハラ被害やカスハラ被害と思われる事案があった場合に迅速に報告相談できるように、社内イントラネットやポスターなどを活用し、カスハラ相談窓口の存在や利用方法を分かりやすく周知する。特に、アルバイト従業員やパート社員等、正社員ではない方にも利用できるように促進するとともに、一人で店舗運営等をしている遠方での勤務者に対しても利用しやすいように努める。新入社員研修などで、カスハラに関する教育を行う際に、カスハラ窓口の情報提供も行うと効果的である。
また、筆者のクライアント等では、カスハラ相談とは別にハラスメントにつながるキーワードや行動があった場合に、その深刻さに従ってインシデントレポートを提出する様にしている。これをする前提として顧客管理システムや社内情報共有のための仕組みが必要である。
カスハラ相談内容の記録・分析
カスハラ記録は、状況把握や再発防止策の検討に役立つ。そこで、カスハラ相談内容や対応履歴は記録し、重要な経営情報として分析することで今後の対策に活かすようにする。
プライバシーの保護: カスハラ相談は、一般的なハラスメント相談同様に、被害者である相談者のプライバシーを最大限に尊重する。いわゆるセクハラ・パワハラ相談とは異なるので、匿名相談とはならないケースがほとんどであるが、筆者の経験では介護業界などで性被害に合われるケースもあるため、匿名での相談も受け付ける体制があると良い。
一方、カスハラ自体は決して許されるべきものではありませんが、だからと言ってそのカスハラ内容をみだりに部外者に伝えたり、ハラッサーの個人情報等を話したりすることはハラッサーへの人権侵害等につながることもある。そこで、カスハラ相談の内容や個人情報はハラッサー、ハラッシー双方のプライバシー保護を忘れないようにする。
フィードバック機能: カスハラ相談を受けた後の進捗状況や会社の対応について、相談者にフィードバックを行う体制も重要である。
その他カスハラ相談の際に設置を検討すべきこと
・専用の相談室、面談方法の確保
・必要に応じて、専用メールアドレス・電話回線の開設、オンライン相談システムの導入
・男女両方、複数のカスハラ相談担当者配置
・外部カスハラ専門家、弁護士との連携体制
・24時間、365日カスハラ相談対応
❷社内カスハラ相談窓口設置の注意点
カスハラ相談導入効果の測定指標の設置
・相談件数の推移
・解決率
・従業員満足度
・職場環境の改善度、カスハラ未然防止の体制改善度
・社内コミュニケーションの活性化
・従業員の安心感
カスハラ相談窓口を形骸化させない
カスハラ相談窓口を設置するだけでは意味が無い。定期的な運用状況の確認や見直しを行い、常に機能するように改善していくことが重要である。
カスハラ二次被害の防止
カスハラ相談を受けた際には、相談者が二次被害に合わないよう細心の注意を払う。カスハラ相談に対する対応は公平で透明性のあるものとし、相談者が事後に不当な扱いを受けないように配慮する。
以上のように、カスタマーハラスメント相談窓口の設置は、「カスタマーハラスメント対応研修」の実施と合わせて従業員を守るための重要な取り組みです。企業は、カスハラ問題の深刻さを認識し、積極的に対策を講じていくことが求められます。適切な設置と運用により、従業員の働きやすく活躍できる職場環境の実現が期待できます。
◆参考Webサイト◆
カスハラ専門コラム: https://www.ax-learning.jp/column/customer-harassment
カスハラ講演会ラインナップ: https://www.ax-learning.jp/lecture/customer-harassment
厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/
あかるい職場応援団: https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
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