アックスラーニングのカスタマーハラスメント対応研修コラム

カスタマーハラスメント対応のために知っておきたい関連法律 | アックスラーニング

カスタマーハラスメント対応のために知っておきたい関連法律 | アックスラーニング

2025年03月25日 14:49

カスタマーハラスメント対応に関連する法律の理解は、企業が適切に顧客対応をおこない従業員を守るために非常に重要です。以下に、カスタマーハラスメントに該当する可能性のある行為と、それに関連する法律を具体的に示します。


目次

1.カスタマーハラスメント対応と関連法

2.カスタマーハラスメント対応のために法律の理解が必要な理由


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1.カスタマーハラスメント対応と関連法

カスタマーハラスメントと法律の関係性 カスタマーハラスメントは、単なる接客上の問題ではなく、従業員の人権や安全に関わる法的な問題として捉える必要があります。適切な法的対応を行うことで、従業員を保護し、企業としての法的リスクを軽減できます。以下、法律に抵触する可能性がある行為と関連する法律をお示しします。

1. 暴行・傷害・脅迫罪(刑法)
行為の例:顧客が暴言を吐きながら商品を投げつけ、店員に怪我を負わせた場合。
解説:暴力を振るったり、暴力を振るうと脅したりする行為は、刑法上の犯罪に該当します。筆者の経験では、意外と唾を担当者に吐きかけるハラッサーもいますが、この場合は傷害の罪になる可能性があります。なお、唾を床や施設に吐き掛けた場合は、器物損壊の罪に問われる可能性があります。

2. 威力業務妨害罪(刑法)
行為の例:顧客が大声で騒ぎ立て、他の顧客がサービスを受けられないように妨害した場合。
解説:暴力や脅迫を用いなくても、業務を妨害する行為は犯罪となる可能性があります。これはカスハラの典型ではないでしょうか。責任者の判断で「お客さん!こんだけ店に迷惑をかけているんだからあなたは出禁ですよ」と出入り禁止措置(いわゆる出禁)をその場で言われるケースがたまにあります。お店側の判断で出禁だと述べること自体は否定されるものではありませんが、筆者の経験ではただいうだけではなく「出禁等の措置を示したパンフレット」「警告書」等の配布をするといった段取りも必要だと指導しています。

3. 迷惑防止条例(各都道府県の条例)
行為の例:顧客がしつこく電話をかけ続けたり、必要以上に店内に居座ったりした場合。セクハラ発言や体を触る・服をめくる等の性的行動等もこれに該当する場合があります。
解説:各都道府県が定める条例で、公共の場における迷惑行為を規制しています。これもよくあるケースかもしれません。特に行政窓口でたまに相談を受けます。この様なカスハラ対応のためにも、日ごろから警察と連携した準備をおこない、いざというときは躊躇なくその場で警察へ通報できるように判断力や対応力を磨くことが「カスタマーハラスメント対応研修」のポイントです。

介護施設はカスタマーハラスメントが目立つ産業の一つではないでしょうか。特に介護などの場合、被疑者が認知症等があったり密室で被疑者と被害者が二人だけであったりとカスハラ認定がしにくい面もありました。また、被疑者家族が「そんなことない」「名誉棄損だ」「そんなことを言われてまでこの施設には入れられないので、他の施設に移動する費用と段取りをしろ!今すぐしろ!」といわゆる逆ギレ状態になりやすいことも介護施設のカスハラ事案としてよくあるケースです。ここで泣き寝入りすることなく対応することがカスタマーハラスメント対応義務化の意義ですから、ご家族様に納得・理解していただくように事前からの準備が求められます。

4. 侮辱罪(刑法)
行為の例:顧客が店員の人格を否定するような暴言を吐いた場合。
解説:公然と人を侮辱する行為は、犯罪となる可能性があります。「あほ」や「バカ」、「仕事ができない」等、担当者を侮辱することを意図したり、または意図せず普段通りの発言をしたりする方は沢山います。これをカスハラかどうか判断する場合、帰り際の捨て台詞であれば頻度が多いとは言えませんからカスハラとは認定しにくいでしょう。しかし、相手への人格攻撃が話題にすり替わり繰り返し「バカ」「ダメな奴だ」「使えない」「仕事辞めろ」「私が次に来た時にまたお前がいたらただじゃ済まさない」等、言い続ける場合はカスハラ認定の可能性が高まります。

余談ですが、クレーム体制に関してコールセンターの専門書で昔、調査をしていましたが、関西圏の方は日常から「ボケ」「アホちゃうか」等はよく使う方がいる様で、大きな声で「ボケ」等と言われてもクレームなどと感じない方が関東圏よりも多かったと記憶しています。この様に、侮辱罪は被害者の受け止め方と影響することが他の刑事罰と異なるところでしょうか。実際、筆者のクライアントで関西の金融系コンタクトセンターや通販コールセンターがありましたので、「ボケやカスっていわれてどう?」と尋ねたことがありますが、やはりひどいクレームとは感じない方が多かったですね。

5. 名誉毀損罪(刑法)
行為の例:顧客が事実無根の内容で、店員や店をインターネット上で誹謗中傷した場合。
解説:事実無根の内容を言いふらし、他人の社会的評価を低下させる行為は、犯罪となる可能性があります。近年は、ネットでの晒しがありますので、インターネット状に実名や事実無根等が書かれた際の対応策、レピュテーションは会社で定めておく必要があります。

6. 不法行為に基づく損害賠償請求(民法)
行為の例:顧客が商品を破壊し、店側に損害を与えた場合。
解説:故意または過失によって他人に損害を与えた場合、損害賠償責任が発生します。

上記はあくまで一例であり、カスタマーハラスメントに該当するか、どの法律が適用されるかは、具体的な状況によって判断されます。

2.カスタマーハラスメント対応のために法律の理解が必要な理由

適切なカスタマーハラスメント対応を行うためには、それぞれの行為がどの法律に抵触する可能性があるのかを理解し、状況に応じて適切な対応を選択する必要があります。

❶法的根拠に基づいた毅然とした対応:法律に基づいた対応は、毅然とした態度でハラスメント行為を止めさせるために有効です。
❷不適切な対応によるリスク回避:法律を理解していないために、不適切な対応をしてしまうと、企業の社会的評価を低下させたり、法的責任を問われたりする可能性があります。
❸従業員保護:法律を理解し、適切な対応マニュアルを整備することで、従業員をカスタマーハラスメントから守ることができます。

カスタマーハラスメントは深刻な問題であり、企業は法律を理解した上で、適切な対策を講じる必要があります。ただし、素人判断では「ハラ・ハラ(何でもかんでも「ハラスメントだ」と主張してしまう、ハラスメント・ハラスメントの略)」になってしまう可能性もありますから、弁護士等の専門家に相談、連携の上、対応していくと良いでしょう。


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◆参考Webサイト◆
カスハラ専門コラム: https://www.ax-learning.jp/column/customer-harassment

カスハラ講演会ラインナップ: https://www.ax-learning.jp/lecture/customer-harassment

厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/

あかるい職場応援団: https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/


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