アックスラーニングのカスタマーハラスメント対応研修コラム

社員を守れない会社に未来はない—正しいカスタマーハラスメント対策で企業価値を高める!

社員を守れない会社に未来はない—正しいカスタマーハラスメント対策で企業価値を高める!

2025年04月15日 01:14

近年、理不尽な要求や暴言・暴力等に代表されるカスタマーハラスメントが深刻化し、従業員の心身に大きな悪影響を与えています。皆様の職場ではいかがでしょうか?利用者からの心無い言葉や無理難題、取引先からのセクハラや接待強要等。カスタマーハラスメントは、従業員のモチベーション低下や離職増加、そして企業全体の生産性低下を招く可能性が高く、もはや企業の経営問題、労務問題と言っても過言ではない時代に来ています。

本稿では、この様なカスタマーハラスメントについて、不当要求等の実務コンサルティングを多数手がけてきたコンサルタントが、カスタマーハラスメント対策の正しい方法とともに、カスタマーハラスメント対応研修のヒントとなる情報をお伝えします。


目次

1.かなり勘違いされている「カスタマーハラスメント対策」の基本スタンス

2.リスクマネジメントとしてのカスタマーハラスメント

3.カスタマーハラスメント対策の盲点

1.かなり勘違いされている「カスタマーハラスメント対策」の基本スタンス

カスタマーハラスメント対策は、クレーム対応の延長もしくは発展形と思われている方が多いのではないでしょうか。そのため、カスタマーハラスメント対応マニュアルを作り、担当者が「カスハラ発生時に如何に対応するか」と現場対応力を養成する研修を対策のメインとする傾向が伺えます。

しかしカスハラ等という言葉が無かった20年ほど前から対策を講じている企業は、「不当要求・過剰クレーム対策」等と称し、「不正に金品を奪い取ろう」としたり、嫌がらせの意図を隠して「何度もお客様相談室に電話」をしたり、要求通りにいかないと激高し暴力や物を壊したりとエスカレートする者に対応する取り組みを「リスクマネジメントの領域」として扱っており、筆者もそう考えています。

2.リスクマネジメントとしてのカスタマーハラスメント

カスタマーハラスメントをリスクマネジメントとして捉えたとき、最も大事な取り組みはカスタマーハラスメントを「脅威」と認識し「その発生予測および抑止・予防、発生後の回復策」だと筆者は考えクライアント企業に指導しております。カスタマーハラスメント対応研修は、「カスハラやクレームが来た場合はこうしよう」と発生を受けて対応するものですが、リスクとして捉えると「カスハラをしにくくさせるためには?」「カスハラをしようと思っても思い留めるためには?」と、カスハラから従業員を守る体制構築に知恵とお金を出すことに視座と視野が変わります。

ですから、これから本腰を入れてカスタマーハラスメント対策を講じようとする企業の経営陣やカスタマーハラスメント対策推進者は、「カスハラ発生の予測及びその対策のロードマップ作成と効果検証」を議論の中心にすると良いでしょう。
①カスハラ発生の予測とは
自社のカスハラ発生原因やカスハラへとエスカレートした事情を客観的に把握し、今後起こり得る危険性、起こった場合の脆弱な場所等を予め発見しておくこと。
②カスハラ対策のロードマップ
カスハラ対策は、「1.抑止・予防策」「2.発生時の円滑な対応、警察との連携、社内エスカレーション」「3.発生後の回復」といった対応フェーズの具体策の構築と、カスハラを限りなく「ゼロ」にさせるため実行・改善手順を予め定めておき定期的にモニタリングをする必要がある。
③カスハラ対策に関する効果検証
カスハラ発生数、カスハラ対応時間、カスハラ対応時の警察連携数、カスハラ対応後のメンタル改善効果等、定量的に定性的にアンケートや数値レポートを取り、効果的なカスハラ対策につながっているか確認を怠らない。特にメンタルの回復や働きやすさという就業環境の快適さは最重要である。

カスタマーハラスメント対策をリスクマネジメント、経営・労務問題と正しく認識し検討している企業か否かは、「カスハラ対応方針」を見れば一目瞭然です。残念ながら、何ら実行性が期待できないカスタマーハラスメント対策方針を策定し公表している企業も散見されますが、この様な方針の企業は今後、従業員やステークホルダーから見限られる可能性が高いことを自覚する必要もあるでしょう。筆者としては、第一弾のカスハラ対応方針を厚労省の資料を参考にとりあえず形だけ作った企業や組織は、早々に"違いの分かる"専門家に相談し第二弾へと改良することをお勧めします。

3.カスタマーハラスメント対策の盲点

カスハラは、暴言や嫌がらせ等の行為に代表されるため、加害者が100%悪くその行為に毅然と立ち向かわせることが対策とする傾向があります。これは間違いではありませんが、筆者のように不当要求・過剰クレーム等の対応力を長年調査していると、必ずしもハラッサーの「不正の意思」「行き過ぎた言動」ばかりが端緒ではないことに気づきます。つまり、カスハラの発生原因やエスカレート背景には貴社の対応に原因があることもある、ということです。

会社や上司に、カスタマーハラスメント相談をしてきたものの・・・カスハラを許容する企業風土

例えば、保険や銀行、不動産のようにお客様個人の取引額が数千万円を超えるような場合や高額な機械、システムの導入等、売上を重視している結果、お客様の度を越えた要求があって従業員からその相談が上がっても、「我慢して」「うまくやって」と担当者を保護するどころかそれを乗り越えてこそ一人前だと言わんばかりの会社も実際あります。これはまさにカスハラを助長している典型でしょうから、こういった実態が社内に無いか把握、確認をしてから対策を講じる必要があります。

ミス、誤案内、無気力な対応・・・サービスの質が著しく低い企業や組織

カスタマーハラスメントは、暴言や暴力等「要求態度のピーク」に目が行きがちで、態度や要求がエスカレートした経緯や発火点と応対者の態度、対応能力との関係を見落としている企業や自治体は多いです。本来であれば、利用者の勘違いであり誤解を解けば丸く収まる話でも、言い方や態度によって「何だその言い方は」「失礼だ」「お前は理解力ゼロだな」「お前はそどうせ、ろくな大学出てないんだろう」「役職者を出せ、話しにならん」等とエスカレートし暴言に至る。よって、カスハラ対策に意識を注ぐ前に、自社のサービスや接客がカスハラを誘発していないか確認することも必要ではないでしょうか。

コンタクトセンター等、業務委託をしている職場において

コンタクトセンター業務を受託しているテレマーケティング会社では、オペレーターが困っていても上席が変わってくれなかったり、苦情対応等の専門教育も受けていなかったりするため、お客様の怒りをエスカレートさせることもあります。この様に業務レベルに応じた人員をアサインし教育が出来ていないためカスハラに発展する実態もあることから、委託先と発注元でカスハラ対応の在り方やサービスレベルの合意も改めて重要な視点となっています。

おわりに:
カスタマーハラスメント対策は、業種業態によって課題も取り組みも様々です。対面接客か電話対応かによっても「予防策」「対応策」は全く異なっていきます。今後、カスハラ対策を充実させ実行力を持たせるためには、全従業員の声を聞き、最新のAIやデジタル技術、データの活用を用いて、従業員保護と従業員が活躍する場づくりへの投資を惜しまない、ということを忘れてはいけないでしょう。


【執筆者】

アックスラーニング代表 岩崎重国(プロフィールへ)


◆参考Webサイト◆
カスハラの事をもっと知りたい: https://www.ax-learning.jp/column/customer-harassment

カスハラ講演会を開きたい: https://www.ax-learning.jp/lecture/customer-harassment


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