
カスタマーハラスメント関連の協会の取り組みについて
2025年06月07日 18:00
最近、某社のお客様相談室の方から、「日本カスタマーハラスメント対応協会や日本ハラスメントカウンセラー協会ってどんな組織か知ってますか?」と尋ねられました。残念ながら、筆者はまったく関係していませんので実態がよく分かっていません。。。そこで、本稿では、カスタマーハラスメントに関連する協会や団体がどの様な活動をしているのかをまとめてみたいと思います。
目次
1.カスタマーハラスメントやハラスメントに関する団体例
2.カスタマーハラスメントやハラスメントに関する協会が次々に設立される背景
3.カスハラ対策に関する興味深い取り組み
1.カスタマーハラスメントやハラスメントに関する団体例
日本カスタマーハラスメント対応協会は、一般社団法人 ココロバランス研究所が運営する任意団体です。webサイトを見ていたら、私が前職時代から知っている某社お客様相談室の方も役員でいらっしゃいました。心理関係の方や大学の教員、企業の相談対応部署出身の方など、各方面の方がバランスよく在籍され職場におけるカスハラ対策の方法を提供し、従業員の安全とメンタルヘルスの確保を目指している団体のようです。筆者が思うに、学問よりな立場の方々が多く存在しているところが興味深いですね。
日本ハラスメントカウンセラー協会はカスタマーハラスメント対応実務者認定研修を提供し、その成り立ちは名前が示すとおりパワハラやセクハラなどの「ハラスメント」分野のようです。カスタマーハラスメント対応実務者認定研修は弁護士が担当されています。研修内容自体は、カリキュラムを拝見する限り、厚生労働省が示すカスハラ対策の内容を解説し、カスハラに関連する法律を紹介しているようですね。担当者学びたいとされる、カスハラ対応のテクニカルな内容ではなさそうです。
2.カスタマーハラスメントやハラスメントに関する協会が次々に設立される背景
カスタマーハラスメントに関する協会が設立される背景には、現代のビジネス環境におけるカスハラの増加があるのでしょう。特に、サービス業やカスタマーサポート業務をおこなう企業において、顧客からの過度な要求や暴言による心理的ストレスが問題視されています。
最近の調査では、従業員の半数以上が何らかの形で顧客からのハラスメントを経験しているとの報告もあります。これにより、従業員のメンタルヘルスが悪化し、職場全体の生産性が低下するリスクが高まっていますので、多くの企業が従業員を保護するために専門的な対策を求めるようになっています。
また、社会全体でのハラスメントに対する意識の高まりも、この動きに拍車をかけています。法律や規制が整備されると同時に、企業が自発的にハラスメント対策を強化することが求められています。その結果、カスタマーハラスメントやハラスメント全般に特化した協会が増え、企業や個人に対する啓発活動や支援が進んでいると考えられます。
3.カスハラ対策に関する興味深い取り組み
あんしんいきいき職場格付け認証
日本カスタマーハラスメント対応協会を運営する一般社団法人ココロバランス研究所は、従業員が安心して働ける職場環境を目指す新たな認証制度「あんしんいきいき職場格付け認証」を創設されました。プレスリリースによれば、カシオグループや札幌市、東急電鉄が認証を受けています。こうした認証制度を活用し、会社をあげてカスハラ対策に取り組むことは大変に素晴らしいことですね。
この「あんしんいきいき職場格付け認証」とは、心理学・保健学・経営学等の学術的知見と実務経験に基づき、従業員があんしんいきいきと働けるよう、組織としての対応や従業員のメンタルヘルスを評価し格付け認証する制度で、その認証基準は以下のとおりです。
認証の評価基準について(以下webサイトにアップされている情報)
・事業主の基本方針・従業員への周知
トップの関与のもと、カスタマーハラスメント対応への取組の基本方針が示されているか等
・実態の把握
顧客からのハラスメントの発生状況の実態を把握できているか等
・必要な体制の整備、マニュアル整備状況
顧客からのハラスメントが発生した場合の対応策を検討する部署や対応のマニュアルが整備できているか等
・相談体制の整備
相談窓口や、被害にあった従業員のメンタルケアを行う体制が整っているか等
・顧客からのハラスメントが発生した場合の対応
顧客に対してハラスメントを停止させる措置を講じたか、従業員のメンタルケアをが実施されたか等
・その他
プライバシー配慮や、過度に顧客第一主義を容認する社内風土はないか等
ただ、本認証は心理学や保健、経営といった側面から創設しているためか、カスハラ対応の実務で最も重要と考える「カスハラの予防」の観点は評価基準に無いようです。
筆者のようにカスタマーハラスメント対応はリスクマネジメント領域だと考え企業コンサルをしている立場からすると、カスハラ対策においてまず企業が取り組むべきことは「予防と抑止」です。そもそも企業が何十年も前からあったカスハラを見過ごしてきたことが問題だと筆者は思っていますので、カスハラ対策の認証では「予防と抑止」が仕組み化されていて、それでも発生してしまったカスハラに従業員の負担を最大限に掛けない体制が構築できていることを第一とすると考えます。
従業員の皆様は、カスハラ対策の認証よりもカスハラが起きない事を望んでいますから、この認証ももう少し現場実務に寄り添った制度になっていけば尚良いのではないでしょうか?
カスハラ(カスタマーハラスメント)対応代行窓口サービス
一般社団法人日本ハラスメント協会は、企業や自治体がカスハラに組織対応できる、カスハラ(カスタマーハラスメント)対応代行窓口サービスを開始しているようです。これは現場で起こったカスハラに対して、一線を越えていると従業員が判断した場合、「これ以上の対応はいたしかねる。クレーム・ご要望の受付は日本ハラスメント協会が代行する。」といった趣旨が書かれた案内チラシをカスハラッサーに渡す仕組みのようです。以前からクレーム代行業者がいましたが、それのカスハラ版でしょうか。
ただ、この10年以上にわたって大手企業のお客様相談室を多数、調査・コンサルティング、研修をしてきた筆者でもクレーム代行を頼んでいる大手企業にはお会いしてことはありませんので、この様な代行がどれほど浸透し効果が生まれるのかは分かりません。相談室などが全くない企業で、クレームやカスハラによほど大変な思いをしているようであれば、代行を依頼するという考えもあるかもしれませんね。
【執筆者】
◆参考Webサイト◆
カスハラの事をもっと知りたい: https://www.ax-learning.jp/column/customer-harassment
カスハラ講演会を開きたい: https://www.ax-learning.jp/lecture/customer-harassment
厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/
あかるい職場応援団: https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
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